香り豊かなチョコレート。カカオ豆そのものの味わい、香りを最大限に引き出しチョコレート制作をされているMinimalの代表である山下貴嗣氏にMinimalチョコレートとソサエティの親和性について伺った。
Minimalというブランドについて
Minimalはクラフトチョコレートメーカーです。チョコレート主原料であるカカオ豆を赤道直下から直接仕入れ、Bean to Barと言う自分たちの工房で、豆からチョコレートが完成するまで一貫して手仕事で製造するチョコレートメーカーとなります。
2014年12月1日、1店舗目は富谷からスタートし現在は銀座等都内に5店舗あります。
Bean to Bar とは
チョコレートを製造するスタイルの一つで、その名の通り「bean;豆から、bar;板チョコレートまで」を一貫して製造する新しいチョコレートの製造スタイルの事です。

チョコレートへのこだわり
こだわりは2つで、1つは素材。カカオ豆、原材料の品質。2つ目は作り方。その素材をどう生かして作るか。独自に開発して徹底的にカカオの香を表現する事にこだわって製造している。
エピソード
この仕事を始めて本当の豊かさとは何か、と言う事を教えてくれた人がいた。私達は他業者の3倍の値段を提示する事があるがそれでも売ってくれない生産者はいる。安い価格でも大手に一度に大量を販売する方が収入や安定につながるが、一方自分たちが購入する量は少なすぎる。そんな中、現在取引をしているある人が言ってくれたひと言が心に残っている。彼は私達に販売する事で収入が下がるにも関わらず販売してくれている、その理由を聞いた事がある。その時彼は「30年この商売をしているが、初めて君が品質について議論してくれ、美味しいチョコレートとは何か、を話してくれた。だから収入が多少下がっても君と一緒にやっていく事を決めたんだ」、と言ってくれた。

その時に本当に豊かに生きるという事は、お金もたくさん持つ事も大事だが、自分がどう生きていくかを選べる、「豊さとは選択出来る事だ」、という事を教えてくれた。Aだけ知っていてAを選択しているのか、それともA,B,C,Dも知っていてその中からAを選択しているのか、では意味する事は全く異なる。私たちはお客様にもカカオ豆の生産者にも新しい選択肢を提案する事が出来るといったことを明示してくれた。それによって豊かな生活を選択できるという人が増えていく。そういう事でこの仕事に非常にやりがいを感じ、チョコレートを通して新しい文化の提案をしていきたい。
どこで原材料を仕入れる?
チョコレートの主原料であるカカオ豆は北緯と南緯20度以内の赤道直下の国々で出来、カカオ豆が生産できる国は60か国以上にのぼるといわれている。自分たちで30か国以上に出向き、直接農園を訪問し、豆を見極め購入している。この事は大変珍しい事でもあります。
作り方のこだわり
「チョコレートの再構築」 通常チョコレートメーカーはカカオ豆に砂糖、バター、ミルク、香料、乳化剤と加えていく足し算、フレンチのような作り方が一般的な一方、我々はその考え方を再構築し、引き算のチョコレートだと考えている。我々のチョコレートは全部フレーバーが違うが、それら商品の原材料はカカオ豆と砂糖のみ。カカオの個性によって全部味が異なっていく作り方をしている。この思想が根本的に他と異なっており、最もこだわっているポイントです。

形状のこだわり
5mm角や3cm角などサイズを変える事によって気分や食べたい量で一口を選べるようにブロックの大きさを変えた。表面のテクスチャーがざらざらしていたり、細長いところはかじったり、とかしながら食べたり食べ方のバリエーションも楽しめる。 5mm角のブロック以外は全て3g~4g、薄さ6mm程度にしており、口の中に入れた時に香りが一番立つ大きさにしている。
食感の個性
「引き算の法則 カカオを刺身で出したい」
通常のチョコレートは粒子をすりつぶして食感を感じないくらいなめらかなチョコレートにするが、粗びき、すりつぶしを甘くしストレスをあまりかけずにすると香りが残りやすい。チョコレートの主原料“カカオ豆”の事はあまり知られていない。噛む、砕く事によってザクザクする食感がチョコレートって豆から出来ているんだという事を直感的に感じる事が出来る。香りが強く残るという事と、豆から出来ているんだ、という事を感じてほしい
ラベル
産地、パーセンテージ、ペアリング等の情報をしっかり伝えるお酒のラベルにインスパイアされ、お客様に真摯に向き合い、真摯に理解を深めるきっかけとなる情報を明記したカードをつけている。

Minimalとソサエティの親和性について
- 商品の表現方法 ~色で表現
お客様に味わいを直感的に選んで頂くために、ラベルや味わいに色を使って表現していて、ソサエティも同じように色分けやタイトルを気分によって合わせる事が出来る、等と言うところは同様だと思っておりまた、香りを大切にしているところに非常に親和性を感じている。
- コンセプト
Bean to Barは単一の産地、単一の農園の豆、等シンプルに、混ぜないで使うというところにコンセプトの一つにあるので、コンセプトレベルではかなり親和性が高いと感じている。
- ファン
“好きな”人が集まっている、事が共通している。同じものを求めている、こだわりや楽しみ方等にこだわりを持っている人たちがそれぞれのファンになっている。
Minimalのファンはチョコレートには珍しく男性が多い。
男女問わず食へのこだわりや面白いストーリーを知りたい、など好奇心に満ち方が集まっている。 この事を考えるとMinimalとソサエティのお客様は双方の商品に興味を持つに違いないと思う。

Minimalチョコレートとソサエティのペアリングについて
ペアリングする際、2階建ての家のように考えている。
1階はボディや強度。基本的にアルコール度の高いソサエティ商品はチョコレートで言うとカカオ濃度70%や80%、90%といった高い方が合うと思っており、Minimalは70%以上の商品がほとんどのため、まずボディ強度の相性は良いはず。
2階は香り。フレーバーの方向性。ソサエティ商品はフレーバー豊かであり、一方Minimalは、ここまでフレーバーにこだわっているチョコレートはほとんどないと思っており、ウイスキーの香りとチョコレートの香りを合わせる意味でもMinimalとソサエティはものすごく相性は良いと思う。
ソサエティとMinimalチョコレートの楽しみ方
Minimalチョコレートは軽くて余韻が長い、香りが強いのでチョコレートをまず口の中で溶かして、その香りの余韻にウイスキーを合わせると楽しめると思う。私自身もよくウイスキーに合わせてチョコレートを食べるが、その時はたいていウイスキーをちびちび、チョコレートをちびちび頂きながら香りを気分に合わせたり、また途中でチョコレートを変える事によってウイスキーの味わいの変化、違うニュアンスが出てきて違う気分を楽しめたりする。
山下氏とウイスキー/ソサエティ
- いつからウイスキーを飲むように?
凄くダンディな上司がバーに連れて行ってくれ飲み方を教えてくれた、その人の憧れや恰好良さのスタイルもあり飲むようになってきた。
- ソサエティのイメージとは
こだわりや美意識がしっかりとあり、そしてちょっと遊び心がある人達、という印象。
- ソサエティを初めて飲んだ時の印象
初めて飲んだのはバーで。
それぞれのタイトルがすごく面白く、その時の気分に合わせて楽しみながら選ぶ楽しみを知った。
- どこでよく飲んでいる?
Bar VinsantoとWhisky Library
チョコレートの仕事を始めて、よりウイスキーを好きになった。香りに凄い興味を持ち、 ウイスキーの香りがどこから来るのか、どう重ねたらこの味わいや香りになるのかといったことを知る事も楽しみの一つになった。
最後に、この先のビジョンは
「チョコレートを新しくする」
どんな産地、作り手のストーリー、どんなものと合わせるかといった個人によって多様な選択肢をもった新しい第3の文化としてのチョコレートを作っていきたいと思っている。
山下貴嗣氏プロフィール
株式会社βace代表取締役。
大学卒業後、コンサルティング会社で新規事業立ち上げなど数々のコンサルティング業務に従事。bean to barに出合い独立。2014年、渋谷区富ヶ谷に「Minimal」を開業し、現在、都内に5店舗を展開。
Minimal Bean to Bar Chocolate- の詳しい情報は https://mini-mal.toky